「既卒 就職できない」と検索して、ここに来たと思います。
何十社も落ちているのか、そもそも動けていないのか。どちらにしても、いま「自分には無理なんじゃないか」と思っているはずです。
先に、正直なことを書きます。
私には、落ち続けた経験がありません。 26歳・社会人歴0年・給料が1円も出ない2年半を経て就職活動をしましたが、受けたのは2社で、1社から内定が出ました。それだけです。
だから「私も50社落ちました、でも諦めなかった」みたいな話はできません。「頑張れ」とも言えません。 経験していないことを励ましに使うのは、嘘だと思っています。
代わりに言えることが1つあります。
なぜ2社で済んだのか。 これは運ではなく、あとから全部説明がつきました。そして裏返すと、そのまま 「多くの人が落ち続ける理由」 になります。
この記事では、それを5つに分けて書きます。
① 紙で勝負している
既卒・空白期間がある人にとって、履歴書は最も不利な戦場です。
書類選考で見られるのは紙だけです。職歴欄が空いていれば、それ以上の情報はありません。あなたがその期間に何をして、何を考えていたかは、紙には載りません。
空白期間は、紙の上でいちばん不利になり、対面でいちばん挽回できる。 この性質を知らずに書類を出し続けると、何十社出しても結果は変わりません。
私が受けた2社は、転職フェアで直接会った会社でした。書類選考が存在しない場です。いきなり人に会えます。
正直に言うと、当時それを戦略として選んだわけではありません。親が車の運転中にポスターを見かけて「お前、行ってこい」と言っただけです。ただ、結果的にこれが一番効きました。
書類で落ち続けているなら、まず「紙を経由しない場」を探してください。 転職フェア、合同説明会、社長が直接出てくる規模の会社、知人の紹介。数を増やすより、経路を変えるほうが先です。
② 減点表を持っている人に会っている
これは、実際に私の身に起きたことです。
転職フェアの会場で、ある会社の関東エリア部長が声をかけてくれました。私の話を面白がって、その場でスカウトされました。
数日後、同じ会社の1次面接を受けました。まったく話が噛み合いませんでした。
同じ会社。同じ経歴。数日しか経っていません。それでも結論は正反対でした。
このとき分かったことがあります。
1次面接の担当者は、決められた基準で「引っかかるかどうか」を見ます。 空白期間は、その基準に必ず引っかかる。担当者が悪いわけではなく、そういう仕事だからです。
一方、決裁権を持つ人は基準では見ません。「この人間は面白いか」で見ます。 だから同じ経歴でも結論が変わる。
つまり──
1次面接で落ちたのは、あなたの経歴が否定されたからではありません。減点表を持っている人に当たった、というだけです。
選考が何段階もある新卒型の採用は、この「減点表を持つ人」を最初に通らないといけません。空白期間がある人には、構造的に不利です。
対策は1つ。決裁権のある人に、できるだけ早く会える場を選ぶこと。
③ 空白期間を「隠すもの」だと思っている
多くの人が、空白期間をどう飾るかを考えます。どう言い換えれば減点されないか、どこまでなら誤魔化せるか。
その考え方でいる限り、面接では通りません。 理由は単純で、自分が後ろめたいと思っているものは、話し方に出るからです。
私は面接で、こう答えました。
「人生修行でした」
「社会人歴は0年です」
飾っていません。むしろ自分から言いました。
その結果どうなったか。1社では噛み合わず、1社では通りました。
これは失敗ではありません。選別が正しく働いたということです。隠して入れば、隠したまま働くことになります。開示したから、開示しても面白がってくれる会社に入れました。
正直に話すことは、受かるための技術ではありません。合わない会社を落とすための技術です。
落ちる会社が出てくるのは、うまくいっている証拠です。
④ 「その間どう生活していたか」を言っていない
これが、いちばん多くの人が落としている点だと思います。
私が面接で聞かれたのは、この2つでした。
「本当に給料ゼロだったの?」
「ゼロの理由は?」
疑われていました。信じられていなかったと思います。
私は3つのことを話しました。叔父の意図(なぜそうなったか)、2年で何が変わったか、そして最後に、夜はコンビニでアルバイトをして、生活費は自分で稼いで管理していたこと。
振り返ると、いちばん効いたのは3つ目でした。
面接官が本当に確かめたかったのは、無給かどうかではありません。
この人は、自分で生きていける人間なのか。
それだけです。バイトの話が、その不安を一撃で消しました。
そして多くの人は、ここを言い忘れます。空白期間の「意味」を語ろうとして、「その間どう食べていたか」を飛ばしてしまう。
バイトでも、貯金でも、家族の支援でも構いません。事実を1行言うだけで、面接官の最大の不安は消えます。
⑤ 同じ動き方のまま、数だけ増やしている
①〜④が変わらないまま応募数を増やすと、落ちる回数だけが増えます。
紙で勝負し、減点表を持つ人に会い、空白期間を濁し、生活のことを言わない。この4つが揃っていれば、10社でも100社でも結果は同じです。そして落ちた回数の分だけ、自信が削れていきます。
数は、動き方を変えたあとに効きます。 順番が逆だと、消耗するだけです。
私が2社で済んだのは、優秀だったからではありません。たまたま、構造的に有利な動き方をしていたからです。それだけの差です。
落ちるより先に、止まっている人へ
ここまで「落ちている人」に向けて書きましたが、そもそも動けていない人もいると思います。私もそうでした。
大学を卒業してから半年間、私は市役所で臨時職員をしていました。就職活動は一切していません。
焦りはありませんでした。ただ、飽き飽きしていました。毎日同じ場所に同じ時間に通って、楽しみはお昼ご飯だけで、定時に打刻して帰る。それが半年続きました。
あの半年は、必要でした
いま振り返っても、無駄だったとは思いません。あの時間は、次の就職先を探す時間ではなく、自分のための時間でした。
なぜ大手の内定を破棄したのか。いまの自分に何が必要なのか。それを考えるのに半年かかりました。すぐ次を決めていたら、同じことをまた繰り返していたと思います。
お金の心配もしていませんでした。日本にいる限り、アルバイトの面接を受ければ必ず働けます。 食べられなくなることはない。それが分かっていたので、焦る理由がありませんでした。
飽きは、燃料になります
そして、飽き飽きしていたこと自体が、じつは一番大きかったと思っています。
毎日同じ時間に打刻しながら、少しずつこう思うようになりました。
時間がかかってもいいから、この生活から抜け出したい。自分で自分の働き方を構成できるようになりたい。
止まっている時間は、何も生んでいないように見えます。でも「このままは嫌だ」という感覚は、止まっていないと育ちません。 忙しくしていると、考える前に次の日が来ます。
ただし、正直に書いておきます
あの電話が来ていなかったら、どうなっていたか。
たぶん私は、市役所の職員試験を受けていました。 不服に思いながら、踏み出せないまま。
自分の強い意志で動き出したわけではありません。外から来た一本の電話に、拾われただけです。
だからこそ、同じ場所にいる人に言えることがあります。
一人で決断しようとしなくて大丈夫です。 動くきっかけは、たいてい外から来ます。親のひとこと、久しぶりに会った人の話、たまたま見かけたポスター。私の場合は、ほとんど交流のなかった叔父からの電話でした。
ただし、来たときに掴めるかどうかは、それまでの過ごし方で決まります。
私が即決できたのは、予定が何も入っていなかったからです。そして半年かけて「抜け出したい」と思えるようになっていたからです。何も感じないまま半年を過ごしていたら、あの電話も断っていたと思います。
無理に動かなくていい。でも、外との接点だけは切らないでください。 電話が鳴る場所にいることと、鳴ったときに出られる状態でいること。いまはそれで十分だと思います。
まとめ
| 落ちている理由 | 変えること |
|---|---|
| ① 紙で勝負している | 対面で会える場に変える |
| ② 減点表を持つ人に会っている | 決裁権のある人に早く会う |
| ③ 空白期間を隠そうとしている | 開示する。落ちるのは選別が働いた証拠 |
| ④ 生活のことを言っていない | 事実を1行。最大の不安が消える |
| ⑤ 動き方を変えずに数を増やす | 順番が逆。数は最後 |
既卒で就職できないのは、あなたの経歴が足りないからではありません。 不利な場所で、不利な相手に、不利な出し方をしているだけです。
そして、その3つは全部変えられます。
この記事のもとになった話
ここで書いた5つは、すべて私自身の就職活動から出てきたものです。
給料が1円も出ない2年半に何をしていたのか、面接で何を聞かれて何と答えたのか。実際の言葉をそのまま書いた記事があります。
