内定を辞退しようか迷っている。あるいは、辞退してしまって、これからどうなるのかが不安。
どちらの人にも読んでもらえるように書きます。私は大学4年の秋に、大手商社の内定を辞退しました。内定式に出席した、その翌日に電話で断っています。
そして次の就職先が決まるまで、約3年かかりました。
回り道をした人間の話として読んでください。「だから辞退しても大丈夫」とも「だからやめておけ」とも言いません。実際に何が起きたかを書きます。
辞退した日のこと
10月に内定式がありました。私はそこに出席しています。同じ会社に入る同期と顔を合わせて、話もしました。
電話をかけたのは、その翌日です。
誰にも相談していませんでした。親にも、大学にも、友達にも。全部、自分で決めてから事後で伝えました。
会社には、そのまま伝えました。内定を辞退させていただきたい、と。理由を詳しく聞かれることもなく、話は終わりました。
そんなに引き止められませんでした。それはそれで、少し悲しかったです。
引き止められなかった理由
あとから考えると、当然だったと思います。
企業は毎年、一定数の辞退が出る前提で内定を出しています。 辞退率を見込んで多めに出すのが普通なので、1人抜けても採用計画は崩れません。
つまり、あなたが思っているほど、相手は困っていません。
これは冷たい話ではなく、安心材料として書いています。「辞退したら会社に大変な迷惑がかかる」と思って動けなくなっている人がいますが、実態はそこまでではありません。
(もちろん、伝え方は別の話です。決めたらできるだけ早く、電話で、自分の口から伝えるのが最低限の筋です。メールだけで済ませたり、直前まで引き延ばしたりすると、そこは印象が悪くなります)
辞退できるのか、という話
法律の細かい解釈は専門家に譲りますが、一般論として、内定辞退は本人の意思でできます。
内定は「労働契約が成立した状態」と扱われるのが一般的で、労働者側からの解約は認められています。民法では、期間の定めのない雇用について、申し入れから2週間で契約を終了できるとされています。
「損害賠償を請求されるのでは」と心配する人がいますが、新卒の内定辞退で実際に請求されるケースは、ほとんど聞きません。 企業側にとっても現実的な手段ではないからです。
ただし、入社直前や、入社後すぐの辞退は話が変わります。 研修費用や受け入れ準備が発生しているためです。迷っているなら、早く決めて早く伝えるほど、揉めません。
(個別の事情がある場合は、大学のキャリアセンターや労働相談の窓口に確認してください。ここに書けるのは一般的な話までです)
周りの反応
友達の反応は、全員同じでした。
「あんな大手の内定をもらったのに、もったいない」
口をそろえて、そう言われました。一人も賛成してくれませんでした。
ただ、面白いことがありました。半年後、同じ友達に会うと言葉が変わっていたんです。
「新井みたいに思い切った行動が取れるのは、羨ましい」
彼らは社会人として働き始めていて、私は市役所で臨時職員をしていました。傍から見れば、立場は逆転していたはずです。 それでも「羨ましい」に変わった。
同じ行動でも、見る人と時期によって評価は変わります。 辞退した直後に言われる「もったいない」は、そのときの評価でしかありません。
親には、出発の前日に「明日から宮城に行ってくる」と言いました。返ってきたのは 「頑張って」の一言でした。
そのあと、実際に起きたこと
きれいな話ではないので、そのまま書きます。
辞退した時点で、次の予定は何もありませんでした。 とりあえず地元に帰ってバイトでもしようか、という程度でした。
卒業後の半年 ── 市役所で臨時職員をしていました。就職活動は一切していません。焦りもありませんでしたが、毎日同じ場所に同じ時間に通って、楽しみはお昼ご飯だけ、という生活に飽き飽きしていました。
その後の2年半 ── 叔父に誘われて宮城に行き、釣り堀の運営と渓流魚の養殖を手伝いました。給料は1円も出ていません。 夜はコンビニでアルバイトをして、生活費を自分で賄っていました。
合計で約3年、正社員として働いていない期間ができました。
そして26歳で就職活動をして、2社受けて1社から内定をもらいました。
面接で必ず聞かれます
当然ですが、この経歴は面接で掘られます。私が実際に聞かれたのはこれです。
「なぜ内定を蹴ったのですか」
答えたのはこうです。
「このまま社会人としてレールにハマっていいのか、と思いました。若いうちにしかできない選択だと考えて、辞退しました」
言い訳をしませんでした。 景気のせいにも、会社のせいにもしていません。自分が何を基準に選んだかだけを話しました。
内定辞退を経歴に持つ人が面接で問われるのは、「また同じことをするのでは」という点です。だから、あのときの判断に筋が通っていたことを説明できれば通ります。 後悔しているふりをする必要はありません。
辞退を迷っている人へ
最後に、いま迷っている人に向けて書きます。
辞退そのものは、取り返しのつく選択です。 3年空いた私でも就職できました。取り返しがつかなくなるのは、辞退したあとに何も説明できなくなったときです。
だから、決めるなら1つだけ考えてください。
その辞退を、3年後の面接で自分の言葉で説明できるか。
「なんとなく合わない気がした」でも構いません。それを自分で言葉にできるなら大丈夫です。 逆に、いま説明できないなら、辞退する前にもう少し考える余地があると思います。
私の場合は「レールにハマっていいのか」という違和感が、3年後もそのまま説明できました。だから面接で困りませんでした。
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